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2013年4月7日日曜日

次席検事は記者会見で、「判決内容を詳細に検討した結果、控訴しないという判 断をした」と述べたが、具体的理由は明らかにしなかった。

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"Title : 次席検事は記者会見で、「判決内容を詳細に検討した結果、控訴しないという判断をした」と述べたが、具体的理由は明らかにしなかった。
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塩尻市のコインランドリーで昨年2月、女性の下着を盗んだとして窃盗罪に問われ、長野地裁松本支部で無罪判決を言い渡された同市、無職男性(39)について、長野地検は控訴せず、無罪判決が3日、確定した。男性と弁護士は松本市の弁護士事務所で記者会見し、警察、検察側に改めて謝罪を求める考えを示すとともに、訴訟を検討していることを明らかにした。一方、長野地検の山本幸博・次席検事は記者会見で、「判決内容を詳細に検討した結果、控訴しないという判断をした」と述べたが、具体的理由は明らかにしなかった。

引用:塩尻の窃盗 無罪確定 : 長野 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



2013年2月25日月曜日

「国民目線の広報必要」と言うけれど>検事総長殿<元検弁護士のつぶやき>

「国民目線の広報必要」と言うけれど>検事総長殿

「国民目線の広報必要」 裁判員制度に向け検事総長(産経ニュース)
裁判員制度へ向け、広報態勢充実(毎日新聞 2008年9月18日 東京夕刊)

 事件広報について、樋渡総長は「従来はマスコミに対し、謙抑的に終始してきた嫌いがあり、国民に検察の活動を分かりにくいものとしてきた側面も否定できない」と指摘。捜査の秘密などは厳守しつつ「例えば起訴・不起訴処分の理由、裁判における争点などについて、踏み込んで丁寧に説明することは十分可能。真摯(しんし)に検討してほしい」と述べた。(産経ニュース)

 一生懸命リップサービスに努めておられるようですが

 起訴の理由について述べるとすれば、起訴の根拠となった証拠に基づいて述べることになると思いますが、その証拠の信用性があるとは限らず、将来の公判における弁護活動によって証拠能力(証拠にできる資格そのもの)や信用性が否定される可能性が常にあります。
 起訴直後に起訴の理由について不用意に述べれば、裁判員制度を前提にした場合、裁判員に対し不当な先入観念を与えることになりかねません。

 不起訴の理由を述べることについてもかなり深刻な問題が生じる可能性があります。
 わかりやすく痴漢事件を例にあげますが(痴漢事件の不起訴について記者会見をするかどうかはともかく例としてあげます。)、不起訴の理由として被害者の供述の信用性について疑問があるなどと言えば、最近のでっち上げ事件が連想されて、被害者が被疑者を陥れようとしたのではないかという疑念が生じかねません。
 証拠が不十分だと言えば、被疑者は本当はやっているんだけど証拠が足りないだけなんだなと世間的クロ認定をされてしまう恐れもあります。

 このように、「踏み込んで丁寧」な説明をしようと思うと、思いっきり神経を使いますし、下手な説明をすれば関係者の名誉等に重大は被害が生じる危険性があります。

 原則として各地検の次席検事が当たってきた報道対応については、現場の主任検察官にも担わせる考えを示した。(毎日新聞)

 こんな微妙な問題がある説明を不慣れな主任検事にさせていいんかいな、という素朴な疑問が生じます。

 これまで検察はものを言わなすぎだったことは確かだと思います。
 法曹三者の中で、裁判官と弁護士というのは、その資格を聞いただけで仕事の内容がかなりの程度イメージできますが、検察官の仕事というのはなかなかイメージしにくいと思います。
 単に、事件を起訴する怖い人くらいのイメージじゃないでしょうか。
 または刑事とほとんど混同されていたりして。
 その意味では広報の必要性は感じますが、そのやり方についてはよくよく検討したほうがいいと思います。

 国民目線というのは、検事総長がイメージしているようなものばかりではないと思いますので。
モトケン (2008年9月18日 20:15) | コメント(2) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top) 引用:「国民目線の広報必要」と言うけれど>検事総長殿 - 元検弁護士のつぶやき


下手な説明をすれば関係者の名誉等に重大は被害が生じる危険性があります<元検弁護士のつぶやき>

「国民目線の広報必要」と言うけれど>検事総長殿

「国民目線の広報必要」 裁判員制度に向け検事総長(産経ニュース)
裁判員制度へ向け、広報態勢充実(毎日新聞 2008年9月18日 東京夕刊)

 事件広報について、樋渡総長は「従来はマスコミに対し、謙抑的に終始してきた嫌いがあり、国民に検察の活動を分かりにくいものとしてきた側面も否定できない」と指摘。捜査の秘密などは厳守しつつ「例えば起訴・不起訴処分の理由、裁判における争点などについて、踏み込んで丁寧に説明することは十分可能。真摯(しんし)に検討してほしい」と述べた。(産経ニュース)

 一生懸命リップサービスに努めておられるようですが

 起訴の理由について述べるとすれば、起訴の根拠となった証拠に基づいて述べることになると思いますが、その証拠の信用性があるとは限らず、将来の公判における弁護活動によって証拠能力(証拠にできる資格そのもの)や信用性が否定される可能性が常にあります。
 起訴直後に起訴の理由について不用意に述べれば、裁判員制度を前提にした場合、裁判員に対し不当な先入観念を与えることになりかねません。

 不起訴の理由を述べることについてもかなり深刻な問題が生じる可能性があります。
 わかりやすく痴漢事件を例にあげますが(痴漢事件の不起訴について記者会見をするかどうかはともかく例としてあげます。)、不起訴の理由として被害者の供述の信用性について疑問があるなどと言えば、最近のでっち上げ事件が連想されて、被害者が被疑者を陥れようとしたのではないかという疑念が生じかねません。
 証拠が不十分だと言えば、被疑者は本当はやっているんだけど証拠が足りないだけなんだなと世間的クロ認定をされてしまう恐れもあります。

 このように、「踏み込んで丁寧」な説明をしようと思うと、思いっきり神経を使いますし、下手な説明をすれば関係者の名誉等に重大は被害が生じる危険性があります。

 原則として各地検の次席検事が当たってきた報道対応については、現場の主任検察官にも担わせる考えを示した。(毎日新聞)

 こんな微妙な問題がある説明を不慣れな主任検事にさせていいんかいな、という素朴な疑問が生じます。

 これまで検察はものを言わなすぎだったことは確かだと思います。
 法曹三者の中で、裁判官と弁護士というのは、その資格を聞いただけで仕事の内容がかなりの程度イメージできますが、検察官の仕事というのはなかなかイメージしにくいと思います。
 単に、事件を起訴する怖い人くらいのイメージじゃないでしょうか。
 または刑事とほとんど混同されていたりして。
 その意味では広報の必要性は感じますが、そのやり方についてはよくよく検討したほうがいいと思います。

 国民目線というのは、検事総長がイメージしているようなものばかりではないと思いますので。
モトケン (2008年9月18日 20:15) | コメント(2) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top) 引用:「国民目線の広報必要」と言うけれど>検事総長殿 - 元検弁護士のつぶやき


2013年2月24日日曜日

事件報道が、ほとんど警察・検察からの情報のみに依存し、警察・検察による世 論誘導を可能にしている現状は極めて憂慮すべき事態です<元検弁護士のつぶや き>



弁護士のマスコミ対応

弁護人は被疑者との接見内容をマスコミに話してよいか?(法と常識の狭間で考えよう)
「弁護人は被疑者との接見内容をマスコミに話してよいか?」(弁護士落合洋司の「日々是好日」)

 広島の女児殺害事件の弁護人のマスコミ対応に関して、弁護士のビートニクス先生と落合先生が記事を書いておられます。

 両先生とも、直接的には弁護人が被疑者との接見内容(被疑者と弁護士との二人だけの話の内容)をマスコミに話すことを問題にされていますが、この問題は、それだけにとどまらず、弁護士のマスコミ対応のあり方の問題だと思います。
 両先生ももちろんその観点で意見を述べられています。その中で、接見内容を話すということが特に問題が多いのです。

 私も、接見内容をマスコミに漏らすことについては、慎重の上にも慎重であるべきだと考えます。

 ビートニクス先生は、被疑者の不利益の可能性を指摘しておられます。
 落合先生は、「被疑者(被告人)の理解・承諾の範囲内かどうか」を重視しておられます。

 いずれも弁護人としての基本的かつ最も重要な職責に関するご意見であり、この問題の前提とも言えるご指摘です。

 その観点において、接見内容に関する限り、私もビートニクス先生と同様、広島の事件の弁護士は、「喋りすぎ」であるように思われます。

 しかし、より広く「弁護士のマスコミ対応」という観点で考えると、話は少し変わってくるように思います。

 マスコミ対応に関する弁護士のあり方としては、積極論と消極論があるわけですが、積極論の考え方の背景には、事件の社会性というものを意識しているのではないかと感じられます。
 被疑者・被告人の利益との関係で言えば、報道内容や世間の目というものが検察庁の処分や判決に影響を及ぼす可能性というものを考えているのではないでしょうか。

 それに対して消極論の考え方は、裁判というのは法廷における審理に基づいて裁判官がマスコミや世論の動向とは関係なく、法と証拠に基づいて裁判されるべきであると考えているように思われます。

 いわゆる職業裁判官による裁判を前提にする限り、消極論が理念的に正当であるとしてより多くの支持を得られたかもしれませんが、裁判員制度の導入を前提に考えますと、現実論としてはそうも言っていられないように思います。
 一般市民である裁判員が事前の報道内容や論調の影響をかなり受けることは不可避であるからです。

 そうなりますと、事件報道が、ほとんど警察・検察からの情報のみに依存し、警察・検察による世論誘導を可能にしている現状は極めて憂慮すべき事態です。

 ある事例を簡単に紹介します。

 事件は、精神科病院に入院歴のある被告人による殺人未遂事件であり、事件の態様から見ても責任能力が争点になることが確実な事案でした。
 ところが検察官は、責任能力には問題がないとして(問題にすらならないとして)精神鑑定をしない方針をマスコミに漏らしていました。
 弁護人は、被疑者段階から被疑者がかなり重篤な病気であり早期処分(不起訴または起訴されたとしても早期結審)を図ることが被疑者にとって重要であると考え、また精神鑑定は事件により近い時期において実施するほうがより正確な鑑定が可能であるとして、検察に対して起訴前の正式精神鑑定を求めましたが、検察は応じませんでした。
 そこで弁護人は、公判請求を予測して起訴後の立証に備える意味を含めて勾留理由開示を求めました。
 勾留理由開示公判において、マスコミの記者たちははじめて自分たちの目で被疑者の姿を見ることになりました。
 勾留理由開示公判の後に、ある新聞記者から聞いた話ですが、その記者は勾留理由開示公判以前は、警察・検察からの情報に基づき、責任能力に何の問題もない犯人像を描いていたそうです。
 しかし自分(記者)の目で被疑者を見たことにより、そのようは犯人像が間違っていたことがわかったと言っておりました。
 その後のマスコミ報道は、少なくとも警察・検察に迎合するような論調は影を潜めたように感じられました。

 
 これからの刑事事件は、弁護人が、被疑者(将来の被告人)逮捕の瞬間から、捜査と公判の推移を予測し、マスコミの報道が裁判員の心理などにどのような影響を及ぼすかを考えながら、警察・検察の情報操作に対抗して積極的なマスコミ対応が必要になる場合が多くなるのではないでしょうか。
モトケン (2005年12月11日 10:33) | コメント(2) | トラックバック(5) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:弁護士のマスコミ対応 - 元検弁護士のつぶやき


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2013年2月21日木曜日

刑事と共謀罪<元検弁護士のつぶやき>



刑事と共謀罪

 警察権力と共謀罪の関係について何かを書かなければいけないな、と思っていたところに例によって東京新聞の特報がタイムリーな記事を書いてくれていました。
 やっぱり現場の声をまず聞く必要がありますね。

 刑減免より犯罪組織が怖い(共謀罪 刑事が反対する理由)

警察の現場は今でも負担が過剰だという。「知ってるか? 同棲(どうせい)中に浮気した本人が元カレやら元カノから『ストーカーされてます』って警察に言ってくる。昔だったら民事ですよで終わったけど、市民相談とか言ってさ、今は山のように持ち込まれてる。調べると、ほとんどは本人が悪い。でも、市民相談受けたら、なんでもかんでも調べて、報告書、書かなきゃいかんってことになってんだよ、今は。そのうえ共謀罪? 人手不足もいいとこになるって。世間の風向きばかり見てる官僚には分からんだろうがね」

 これなどは私が以前に書いたことと共通した認識です。

「例えば、外事警察の動きを見てください。破壊活動防止とか、本当の仕事に力を注ぐべきなのに、外国人のオーバーステイとか、簡単な事件ばかりやっているでしょ。警察はノルマ社会だから、事件数の統計を伸ばして予算を取りやすくしたいんです。犯罪組織が対象だという共謀罪だって、法施行から数年後、あれっと気づいた時には、犯罪組織よりも市民団体に矛先が向いているだろうことは想像に難くありません」

 この「ノルマ社会」というところが警察と検察のかなり根本的な違いのように感じています。

 とりあえず一読をお勧めします。
モトケン (2006年5月18日 20:01) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:刑事と共謀罪 - 元検弁護士のつぶやき


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「ノルマ社会」というところが警察と検察のかなり根本的な違いのように<元検 弁護士のつぶやき>



刑事と共謀罪

 警察権力と共謀罪の関係について何かを書かなければいけないな、と思っていたところに例によって東京新聞の特報がタイムリーな記事を書いてくれていました。
 やっぱり現場の声をまず聞く必要がありますね。

 刑減免より犯罪組織が怖い(共謀罪 刑事が反対する理由)

警察の現場は今でも負担が過剰だという。「知ってるか? 同棲(どうせい)中に浮気した本人が元カレやら元カノから『ストーカーされてます』って警察に言ってくる。昔だったら民事ですよで終わったけど、市民相談とか言ってさ、今は山のように持ち込まれてる。調べると、ほとんどは本人が悪い。でも、市民相談受けたら、なんでもかんでも調べて、報告書、書かなきゃいかんってことになってんだよ、今は。そのうえ共謀罪? 人手不足もいいとこになるって。世間の風向きばかり見てる官僚には分からんだろうがね」

 これなどは私が以前に書いたことと共通した認識です。

「例えば、外事警察の動きを見てください。破壊活動防止とか、本当の仕事に力を注ぐべきなのに、外国人のオーバーステイとか、簡単な事件ばかりやっているでしょ。警察はノルマ社会だから、事件数の統計を伸ばして予算を取りやすくしたいんです。犯罪組織が対象だという共謀罪だって、法施行から数年後、あれっと気づいた時には、犯罪組織よりも市民団体に矛先が向いているだろうことは想像に難くありません」

 この「ノルマ社会」というところが警察と検察のかなり根本的な違いのように感じています。

 とりあえず一読をお勧めします。
モトケン (2006年5月18日 20:01) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:刑事と共謀罪 - 元検弁護士のつぶやき


送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき


2013年2月10日日曜日

凶悪な組織犯罪で証人が危険にさらされることも防止できた。それが、日本社会の安全に貢献してきたことも確かである /郷原信郎弁護士

刑事裁判における立証が、供述調書中心に行われてきたことと、検察が日本の刑事司法の中核として「正義」を独占してきたこととは不可分一体の関係にある。刑事事件の真相は、公判廷ではなく、検察官の取調室で解明され、その解明された真実が供述調書化され、判決で調書どおりの事実認定が行われるというのが、日本の刑事司法の枠組みであった。それが、「供述調書至上主義」の特捜検察の独善、暴走を招き、大阪地検の郵便不正事件の不祥事では「ストーリー捜査」による冤罪、陸山会事件では、虚偽の捜査報告書で検察審査会を欺くという重大な問題が明らかになった。しかし、一方で、このような検察中心の旧来の刑事司法の枠組みの下で、公判証言に頼ることなく検察官調書によって犯罪の立証が可能だったことから、凶悪な組織犯罪で証人が危険にさらされることも防止できた。それが、日本社会の安全に貢献してきたことも確かである。

引用:映画「ファイヤー・ウィズ・ファイヤー」と「供述調書中心主義」 | 郷原信郎が斬る


有力な弁護士ブロガーの一人の落合弁護士は私と同じヤメ検ですので<元検弁護士のつぶやき>

 初めて読んだ記事のように思いました。コメント禁止にされる前のエントリのはずですが、自分のコメントもないようです。


検察側が自白調書撤回

 これまで何度か紹介していますが、有力な弁護士ブロガーの一人の落合弁護士は私と同じヤメ検ですので、特に刑事事件については感覚に似たようなところがあります。
 今回取り上げるのは、「夫バラバラ殺人、検察側が自白調書撤回 東京地裁 歌織被告は任意性否定 」です。

 落合弁護士は中日新聞の記事を以下のように引用されています。

検察側は「犯罪事実は被告人質問で十分立証できた」として、証拠請求していた捜査段階の被告の自白調書などを撤回した。検察側が被告の供述調書の請求を取り下げるのは極めて異例。裁判員制度を意識し、裁判の迅速化を図る目的とみられ、今後、同様のケースが続くとみられる。 一方、歌織被告は被告人質問で「警察官や検察官の取り調べで、怒鳴られたり脅されたりして、不本意な調書を作られた」と述べ、供述が任意ではなかったと主張。取り調べの際に検察官から「風俗で働いていた。犬畜生と同じだ。おまえの事件なんて、どうせ男とカネなんだろ」などとののしられたと述べた。検察官の作成した調書の内容を否定し続けると、以前中絶した時の胎児のエコー写真を机の上に並べられて「法廷でこの写真を出していいのかと脅された」と訴えた。

 検事の取調べ状況に関する被告人の供述に関するさらに詳細な報道として産経ニュースがあります。

 歌織被告「検事は『風俗なんかで働いていた汚い奴め、お前は犬畜生と一緒で生きている価値がない。お前の刑を決めるのはおれだ。おれの前で頭を下げてみろ』と、そういうことを言われ続けた。それに対し、私が『違う』とずっと言い続けていると、終いには私が以前に堕ろした子供のエコー写真を並べて、『法廷でこの写真を出されてもいいのか。法廷でマスコミの前に出してやるからな』と言われた」

 産経ニュースを流し読みした限りにおいて、検察官はこの被告人の供述に対して何の反対質問もしないで被告人質問を終わらせています。

 そうなりますと

 自白調書の任意性を争われ、その理由を具体的に述べられた後に、検察官が請求を撤回すれば、やはり任意性に問題がある自白調書だったから、という印象を裁判所に与える可能性が高いように思います。(落合ブログ)

 となるのは自然な流れだろうと思います。
 私も、被告人が言うような取調べを検事がした可能性が高いな、と思います。
 落合弁護士は「裁判所に」と書いていますが、裁判員裁判が始まれば当然「裁判所」の中には裁判員が含まれてきます。
 産経のような法廷のやりとりを詳細に報じるメディアによって、国民の多くにも同様の印象を与える可能性が生じてくるでしょう。
 そしてその中から別の事件の裁判の裁判員が選任されてくることになります。
 検察はその点をどう考えているのでしょうか。

 最近、公判担当の検事(公判部の検事)と話をしますと、裁判員裁判に向けての準備やトレーニングをかなりやっている感じがします。
 しかし、捜査部(刑事部など)の検事がどう考えているのかについて、今回の被告人質問ははなはだ疑問を抱かせます。

 はっきり言いまして、取り調べ検事が報道されたような言動を実際にしたのであれば、検事の取調べとして最低です。
 検事としての適格性がないと言ってもいいです。
 被疑者を侮辱し、恫喝することによって真実を語らせることができると思っているとしたら、極めて危険なことです。
 そのような検事は冤罪の山を築く可能性があります。

 取調室というのは密室です。今のところは。
 検事と立会事務官と被疑者しかいません。
 被疑者を連れてくる警察官もいるのが普通ですが、検事が指示すれば退席させることも可能なはずです。
 いずれにしても被告人から見て味方はいないという状況です。

 こういう部屋で取り調べをしていますと、「俺が一番偉いんだ。俺はこの部屋では何を言ってもかまわないんだ。俺が想定している事実を語らせればいいんだ。俺の書く調書に署名させればいいんだ。」と思ってしまう検事がいても不思議はありません。
 被告人の供述の中の検事はまさしくそういう検事です。

 もちろん、被告人を取り調べた検事が被告人が供述したような取調べをしたのかどうかについては断定することができる資料を持っていません。
 上司は担当検事本人に問いただしているかも知れませんが。

 しかし、問題は、裁判官、裁判員、報道を読んだ国民(裁判員予備軍)が被告人の話を信用するかどうかです。(※)

 さて、産経の記事を読んだ皆さんはどう思われたでしょうか。
 こういう調べが行われた可能性はあるな、と思った人がかなりいるのではないかと想像しています。

 つまり、取調べ検事としては、自分が取り調べた被疑者に、法廷でこんなこと(一般論的には任意性や信用性に疑問を生じさせるような内容)を口にさせるような取調べをしてはいけないのです。

 取調室は密室かも知れません。
 しかし、検事が取調室で発した言葉は、すべて被告人の口によって法廷で語られる可能性があるのです。
 ですから、こんな取調べは絶対にしてはいけないのです。
 ここまでひどくなくても、被告人に誇張されたり揚げ足をとられるような調べをしてはいけないのです。
 
 このように言うと、一部の若手検事から、「じゃあ、どうすればいいんだ。」という声が聞こえてきそうですが、そういう検事は落合弁護士のブログを読んで「人間力」というのはどういうことなのかということを自分で考えていただきたいと思います。
 私が任官した直後に、厳しい取調べをすることで有名な検事ほど任意性を争われない、という話を聞いたことがあります。
 これだけ書くと誤解が生じそうですが、要するに、検事に被疑者を納得させる力があるかどうかだと思います。

(※)
 まったく任意性に問題がない取調べをしたとしても、被告人が嘘八百をでっちあげて任意性を争う可能性はあります。
 今回の事件で検察官が被告人調書の請求を撤回したことを知った別事件の被告人の中には、ともかくひどい取調べを受けたと法廷で言えば自白調書をちゃらにできると考える者が出てきても不思議はありません。
 そうなると、取調べの可視化が一気に加速するのではないでしょうか。
 いずれにしても、まともな調べをすることが大前提ですが。
モトケン (2008年2月14日 17:22) | コメント(30) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)




引用:検察側が自白調書撤回 - 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013


いずれにしても被告人から見て味方はいないという状況です<元検弁護士のつぶやき>

 初めて読んだ記事のように思いました。コメント禁止にされる前のエントリのはずですが、自分のコメントもないようです。


検察側が自白調書撤回

 これまで何度か紹介していますが、有力な弁護士ブロガーの一人の落合弁護士は私と同じヤメ検ですので、特に刑事事件については感覚に似たようなところがあります。
 今回取り上げるのは、「夫バラバラ殺人、検察側が自白調書撤回 東京地裁 歌織被告は任意性否定 」です。

 落合弁護士は中日新聞の記事を以下のように引用されています。

検察側は「犯罪事実は被告人質問で十分立証できた」として、証拠請求していた捜査段階の被告の自白調書などを撤回した。検察側が被告の供述調書の請求を取り下げるのは極めて異例。裁判員制度を意識し、裁判の迅速化を図る目的とみられ、今後、同様のケースが続くとみられる。 一方、歌織被告は被告人質問で「警察官や検察官の取り調べで、怒鳴られたり脅されたりして、不本意な調書を作られた」と述べ、供述が任意ではなかったと主張。取り調べの際に検察官から「風俗で働いていた。犬畜生と同じだ。おまえの事件なんて、どうせ男とカネなんだろ」などとののしられたと述べた。検察官の作成した調書の内容を否定し続けると、以前中絶した時の胎児のエコー写真を机の上に並べられて「法廷でこの写真を出していいのかと脅された」と訴えた。

 検事の取調べ状況に関する被告人の供述に関するさらに詳細な報道として産経ニュースがあります。

 歌織被告「検事は『風俗なんかで働いていた汚い奴め、お前は犬畜生と一緒で生きている価値がない。お前の刑を決めるのはおれだ。おれの前で頭を下げてみろ』と、そういうことを言われ続けた。それに対し、私が『違う』とずっと言い続けていると、終いには私が以前に堕ろした子供のエコー写真を並べて、『法廷でこの写真を出されてもいいのか。法廷でマスコミの前に出してやるからな』と言われた」

 産経ニュースを流し読みした限りにおいて、検察官はこの被告人の供述に対して何の反対質問もしないで被告人質問を終わらせています。

 そうなりますと

 自白調書の任意性を争われ、その理由を具体的に述べられた後に、検察官が請求を撤回すれば、やはり任意性に問題がある自白調書だったから、という印象を裁判所に与える可能性が高いように思います。(落合ブログ)

 となるのは自然な流れだろうと思います。
 私も、被告人が言うような取調べを検事がした可能性が高いな、と思います。
 落合弁護士は「裁判所に」と書いていますが、裁判員裁判が始まれば当然「裁判所」の中には裁判員が含まれてきます。
 産経のような法廷のやりとりを詳細に報じるメディアによって、国民の多くにも同様の印象を与える可能性が生じてくるでしょう。
 そしてその中から別の事件の裁判の裁判員が選任されてくることになります。
 検察はその点をどう考えているのでしょうか。

 最近、公判担当の検事(公判部の検事)と話をしますと、裁判員裁判に向けての準備やトレーニングをかなりやっている感じがします。
 しかし、捜査部(刑事部など)の検事がどう考えているのかについて、今回の被告人質問ははなはだ疑問を抱かせます。

 はっきり言いまして、取り調べ検事が報道されたような言動を実際にしたのであれば、検事の取調べとして最低です。
 検事としての適格性がないと言ってもいいです。
 被疑者を侮辱し、恫喝することによって真実を語らせることができると思っているとしたら、極めて危険なことです。
 そのような検事は冤罪の山を築く可能性があります。

 取調室というのは密室です。今のところは。
 検事と立会事務官と被疑者しかいません。
 被疑者を連れてくる警察官もいるのが普通ですが、検事が指示すれば退席させることも可能なはずです。
 いずれにしても被告人から見て味方はいないという状況です。

 こういう部屋で取り調べをしていますと、「俺が一番偉いんだ。俺はこの部屋では何を言ってもかまわないんだ。俺が想定している事実を語らせればいいんだ。俺の書く調書に署名させればいいんだ。」と思ってしまう検事がいても不思議はありません。
 被告人の供述の中の検事はまさしくそういう検事です。

 もちろん、被告人を取り調べた検事が被告人が供述したような取調べをしたのかどうかについては断定することができる資料を持っていません。
 上司は担当検事本人に問いただしているかも知れませんが。

 しかし、問題は、裁判官、裁判員、報道を読んだ国民(裁判員予備軍)が被告人の話を信用するかどうかです。(※)

 さて、産経の記事を読んだ皆さんはどう思われたでしょうか。
 こういう調べが行われた可能性はあるな、と思った人がかなりいるのではないかと想像しています。

 つまり、取調べ検事としては、自分が取り調べた被疑者に、法廷でこんなこと(一般論的には任意性や信用性に疑問を生じさせるような内容)を口にさせるような取調べをしてはいけないのです。

 取調室は密室かも知れません。
 しかし、検事が取調室で発した言葉は、すべて被告人の口によって法廷で語られる可能性があるのです。
 ですから、こんな取調べは絶対にしてはいけないのです。
 ここまでひどくなくても、被告人に誇張されたり揚げ足をとられるような調べをしてはいけないのです。
 
 このように言うと、一部の若手検事から、「じゃあ、どうすればいいんだ。」という声が聞こえてきそうですが、そういう検事は落合弁護士のブログを読んで「人間力」というのはどういうことなのかということを自分で考えていただきたいと思います。
 私が任官した直後に、厳しい取調べをすることで有名な検事ほど任意性を争われない、という話を聞いたことがあります。
 これだけ書くと誤解が生じそうですが、要するに、検事に被疑者を納得させる力があるかどうかだと思います。

(※)
 まったく任意性に問題がない取調べをしたとしても、被告人が嘘八百をでっちあげて任意性を争う可能性はあります。
 今回の事件で検察官が被告人調書の請求を撤回したことを知った別事件の被告人の中には、ともかくひどい取調べを受けたと法廷で言えば自白調書をちゃらにできると考える者が出てきても不思議はありません。
 そうなると、取調べの可視化が一気に加速するのではないでしょうか。
 いずれにしても、まともな調べをすることが大前提ですが。
モトケン (2008年2月14日 17:22) | コメント(30) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)




引用:検察側が自白調書撤回 - 元検弁護士のつぶやき

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いずれにしても、まともな調べをすることが大前提ですが<元検弁護士のつぶやき>

 初めて読んだ記事のように思いました。コメント禁止にされる前のエントリのはずですが、自分のコメントもないようです。


検察側が自白調書撤回

 これまで何度か紹介していますが、有力な弁護士ブロガーの一人の落合弁護士は私と同じヤメ検ですので、特に刑事事件については感覚に似たようなところがあります。
 今回取り上げるのは、「夫バラバラ殺人、検察側が自白調書撤回 東京地裁 歌織被告は任意性否定 」です。

 落合弁護士は中日新聞の記事を以下のように引用されています。

検察側は「犯罪事実は被告人質問で十分立証できた」として、証拠請求していた捜査段階の被告の自白調書などを撤回した。検察側が被告の供述調書の請求を取り下げるのは極めて異例。裁判員制度を意識し、裁判の迅速化を図る目的とみられ、今後、同様のケースが続くとみられる。 一方、歌織被告は被告人質問で「警察官や検察官の取り調べで、怒鳴られたり脅されたりして、不本意な調書を作られた」と述べ、供述が任意ではなかったと主張。取り調べの際に検察官から「風俗で働いていた。犬畜生と同じだ。おまえの事件なんて、どうせ男とカネなんだろ」などとののしられたと述べた。検察官の作成した調書の内容を否定し続けると、以前中絶した時の胎児のエコー写真を机の上に並べられて「法廷でこの写真を出していいのかと脅された」と訴えた。

 検事の取調べ状況に関する被告人の供述に関するさらに詳細な報道として産経ニュースがあります。

 歌織被告「検事は『風俗なんかで働いていた汚い奴め、お前は犬畜生と一緒で生きている価値がない。お前の刑を決めるのはおれだ。おれの前で頭を下げてみろ』と、そういうことを言われ続けた。それに対し、私が『違う』とずっと言い続けていると、終いには私が以前に堕ろした子供のエコー写真を並べて、『法廷でこの写真を出されてもいいのか。法廷でマスコミの前に出してやるからな』と言われた」

 産経ニュースを流し読みした限りにおいて、検察官はこの被告人の供述に対して何の反対質問もしないで被告人質問を終わらせています。

 そうなりますと

 自白調書の任意性を争われ、その理由を具体的に述べられた後に、検察官が請求を撤回すれば、やはり任意性に問題がある自白調書だったから、という印象を裁判所に与える可能性が高いように思います。(落合ブログ)

 となるのは自然な流れだろうと思います。
 私も、被告人が言うような取調べを検事がした可能性が高いな、と思います。
 落合弁護士は「裁判所に」と書いていますが、裁判員裁判が始まれば当然「裁判所」の中には裁判員が含まれてきます。
 産経のような法廷のやりとりを詳細に報じるメディアによって、国民の多くにも同様の印象を与える可能性が生じてくるでしょう。
 そしてその中から別の事件の裁判の裁判員が選任されてくることになります。
 検察はその点をどう考えているのでしょうか。

 最近、公判担当の検事(公判部の検事)と話をしますと、裁判員裁判に向けての準備やトレーニングをかなりやっている感じがします。
 しかし、捜査部(刑事部など)の検事がどう考えているのかについて、今回の被告人質問ははなはだ疑問を抱かせます。

 はっきり言いまして、取り調べ検事が報道されたような言動を実際にしたのであれば、検事の取調べとして最低です。
 検事としての適格性がないと言ってもいいです。
 被疑者を侮辱し、恫喝することによって真実を語らせることができると思っているとしたら、極めて危険なことです。
 そのような検事は冤罪の山を築く可能性があります。

 取調室というのは密室です。今のところは。
 検事と立会事務官と被疑者しかいません。
 被疑者を連れてくる警察官もいるのが普通ですが、検事が指示すれば退席させることも可能なはずです。
 いずれにしても被告人から見て味方はいないという状況です。

 こういう部屋で取り調べをしていますと、「俺が一番偉いんだ。俺はこの部屋では何を言ってもかまわないんだ。俺が想定している事実を語らせればいいんだ。俺の書く調書に署名させればいいんだ。」と思ってしまう検事がいても不思議はありません。
 被告人の供述の中の検事はまさしくそういう検事です。

 もちろん、被告人を取り調べた検事が被告人が供述したような取調べをしたのかどうかについては断定することができる資料を持っていません。
 上司は担当検事本人に問いただしているかも知れませんが。

 しかし、問題は、裁判官、裁判員、報道を読んだ国民(裁判員予備軍)が被告人の話を信用するかどうかです。(※)

 さて、産経の記事を読んだ皆さんはどう思われたでしょうか。
 こういう調べが行われた可能性はあるな、と思った人がかなりいるのではないかと想像しています。

 つまり、取調べ検事としては、自分が取り調べた被疑者に、法廷でこんなこと(一般論的には任意性や信用性に疑問を生じさせるような内容)を口にさせるような取調べをしてはいけないのです。

 取調室は密室かも知れません。
 しかし、検事が取調室で発した言葉は、すべて被告人の口によって法廷で語られる可能性があるのです。
 ですから、こんな取調べは絶対にしてはいけないのです。
 ここまでひどくなくても、被告人に誇張されたり揚げ足をとられるような調べをしてはいけないのです。
 
 このように言うと、一部の若手検事から、「じゃあ、どうすればいいんだ。」という声が聞こえてきそうですが、そういう検事は落合弁護士のブログを読んで「人間力」というのはどういうことなのかということを自分で考えていただきたいと思います。
 私が任官した直後に、厳しい取調べをすることで有名な検事ほど任意性を争われない、という話を聞いたことがあります。
 これだけ書くと誤解が生じそうですが、要するに、検事に被疑者を納得させる力があるかどうかだと思います。

(※)
 まったく任意性に問題がない取調べをしたとしても、被告人が嘘八百をでっちあげて任意性を争う可能性はあります。
 今回の事件で検察官が被告人調書の請求を撤回したことを知った別事件の被告人の中には、ともかくひどい取調べを受けたと法廷で言えば自白調書をちゃらにできると考える者が出てきても不思議はありません。
 そうなると、取調べの可視化が一気に加速するのではないでしょうか。
 いずれにしても、まともな調べをすることが大前提ですが。
モトケン (2008年2月14日 17:22) | コメント(30) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)




引用:検察側が自白調書撤回 - 元検弁護士のつぶやき

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