冤罪の原因について考えてみようと思ったからです<元検弁護士のつぶやき>
刑事司法の犯罪抑止力と冤罪
刑事司法の目的は、言うまでもなく犯罪を減らすことにあります。犯罪をなくすこと、と言いたいところですが残念ながらそこまで楽観的にはなれません。
ではどうのような手段で犯罪を減らそうとしているかといいますと、刑罰によって減らそうとしているわけです。
つまり、
犯罪を犯した者に対しては刑罰を科すことによって(刑務所に入れることによって)二度と犯罪をする気にならないようにすることによって、
将来犯罪を犯すかも知れない人に対しては、刑罰を予測させることによって思いとどまらせることによって
犯罪を減少させようとしているのです。
要するに、刑罰による威嚇力、もっとわかりやすくいうと刑罰という脅しによって犯罪を防ごうとしているのです。
しかし、この脅しは、犯罪を犯した者は必ず警察に捕まって裁判にかけられて有罪になる、という状況がないと機能しません。
ひったくりを繰り返しても捕まらなければさらに繰り返すことになり、それを見た人間は、捕まらないなら俺もやろう、ということになって犯罪は増えていってしまいます。
つまり刑事司法の犯罪抑止力は、まずは捜査機関による検挙率が高くなければ機能しないのです。
そして、犯罪検挙のための主要な機関は警察であるわけです。
そのため国民は警察に対して高い犯罪検挙率を求め、警察もそれに応えようとします。
しかし警察が捕まえただけではまだまだ目的は達せられません。
犯人が裁判で有罪になってはじめて威嚇力は発揮されます。
刑事裁判においては、警察が収集した証拠を踏まえて検察官による立証活動が重要になってきます。
なぜこんなことを書いたかと言いますと、冤罪の原因について考えてみようと思ったからです。
実は、私の後輩の高校生から冤罪がどうして生じるのか、という質問を受けていました。
簡単に答えられそうな質問に見えるかも知れませんが、すぐには明解な答を出すことができませんでした。
依然として明解ではありませんが、私には冤罪というものは犯罪抑止力のダークサイドのように思えます。
まだまだ考えがまとまっていませんので、今日はこれくらいにしておきます。
モトケン (2005年11月19日 22:00) | トラックバック(2) このエントリーを含むはてなブックマーク (Top)
引用:刑事司法の犯罪抑止力と冤罪 - 元検弁護士のつぶやき
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