批判は安田弁護士に向けられるべきであって他の弁護士に一般化すべきではあり
ません<元検弁護士のつぶやき>
安田弁護士に向けた脅迫状
昼過ぎから光市母子殺害事件関係エントリが異常なアクセスの増加を示したので調べてみましたら、このページ経由のアクセスで、以下のニュースが原因のようです。
山口の母子殺害、日弁連に主任弁護士名指しの脅迫状(ヤフーニュース 6月5日13時23分配信 読売新聞)
広島高裁で先月24日、差し戻し控訴審の初公判が開かれた山口県光市の母子殺害事件を巡り、日本弁護士連合会(東京都千代田区)あてに脅迫状が送り付けられていたことがわかった。
同署や日弁連などによると、脅迫状が届いたのは先月29日。A4判の紙1枚で、「凶悪な元少年は抹殺しなければならない。それができないならば、元少年を守ろうとする弁護士たちから処刑する」「最悪の場合は最高裁判所長官並びに裁判官を射殺する」といった趣旨の文章が印字されていた。差出人の欄には、架空とみられる団体名が書かれていたという。
最近、同事件の弁護団に対する個人攻撃、人格攻撃が目につき、週刊誌でも新潮が「政治運動屋21人の弁護士資格を剥奪せよ」という見出しを掲げたり、私の元に、弁護団の弁護士を懲戒する運動に協力してほしい、というメールが来たりしています。
私がこれまで安田弁護士らの弁護活動について強く批判してきた経緯もあり、メールの差出人は私が当然協力するものとお考えだったかも知れませんが、私は弁護団の主張内容を理由とする懲戒請求に協力するつもりはありません。
私は、安田弁護士らの主張やその他の弁護活動(記者会見等)の有効性について批判しているだけで、被告人の利益を最大限擁護するという弁護人の職責に反しているとは思いません。
わかりやすく言えば、私の批判は技術的な批判にとどまると言えます。
一部司法制度問題に絡む批判もしておりますが、それは反射効果的な悪影響を問題にしたもので、弁護活動の当否それ自体とは趣を異にします。
また私の批判は、一審、控訴審、最高裁の各判決を踏まえた批判をしているつもりですが、弁護人の現在の主張には最高裁における主張を超える部分がありますので、それがいかなる根拠に基づくものか分かりませんので、ひょっとすると有効な主張である可能性は否定できないところです。
つまり報道されない情報もあるのですから、ある意味で私の批判は無責任な批判を含んでいるのです。
そのような私が、上記の限度での批判や論評を超えて、懲戒請求に協力するなどできるわけがありません。
安田弁護士らへの批判の一つとして、本件を死刑廃止論宣伝のために利用しているという批判があります。
しかし、すでにどこかのコメントで指摘されていたと思いますが、本件弁護団の主張は、死刑制度の存在とその適用基準を前提にして、本件は死刑の適用基準を満たさないと主張しているのであって、主張それ自体としては死刑廃止論との関連性は認められません。
死刑存置論者でも、同じ主張をする可能性がある範囲の主張です。
上記批判は非論理的です。
(多数の弁護士が集まったことについては政治的効果を狙ったものである可能性を感じますが)
また、安田弁護士らの主張は、弁護士全体に対する信頼を失わせるという批判があり、実際弁護士に対するイメージを悪化させた人が少なくないと思いますが、本来は、安田弁護士への批判は安田弁護士に向けられるべきであって他の弁護士に一般化すべきではありません。
弁護活動の具体的内容は事件ごとに違いますし、刑事弁護に対するスタンスも弁護士によって一様ではないからです。
マスコミがこのような批判をする場合は、マッチポンプに近い感じがします。
ともあれ、今回の脅迫は同じ弁護士として到底容認することができません。
記事にある「模造の銃弾」というのがどんな代物かわかりませんので、子供のいたずらの可能性もありますが、いかなる言論であれ脅迫によってそれを押さえ込もうとする行為に対しては最大限の捜査と断固とした処分が行われるべきです。
安田弁護士をはじめ本件の弁護団はこの程度で動じることはないと思いますが、この手の事件は一旦報道されると模倣犯が出てくるおそれがありますので、その観点でも徹底した捜査を求めます。
モトケン (2007年6月 5日 15:32) | コメント(163) このエントリーを含むはてなブックマーク (Top)
引用:安田弁護士に向けた脅迫状 - 元検弁護士のつぶやき
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