2013年2月9日土曜日

取調べ技術の未熟さが露呈するのを恐れているように思われます<元検弁護士の つぶやき>


取調べ録画の範囲

最高検、取調べ全過程の録音・録画は拒否 日弁連反発(asahi.com 2008年03月22日03時14分 ウェブ魚拓)

 検証によると170件の録画で撮影を担当した検事のアンケートで、全過程を撮影すべきだという意見はゼロ。「容疑者の供述の矛盾を厳しく問えず、十分な追及ができなくなる」「雑談や笑いもある取り調べを公開し、被害者や遺族が目の当たりにしたら、捜査機関に極度の不信感、嫌悪感を抱くかもしれない」などの意見が多かった。

 元検としましては、こういう意見が出るだろうなと理解できる意見ですが、

 「容疑者の供述の矛盾を厳しく問えず、十分な追及ができなくなる」というのはあまり説得力がないと思います。
 このような意見を述べた検事が何を考えているのか明確ではありませんが、厳しく問うシーンが裁判員から見ると任意性を疑われる恐れを心配したのでしょうか?
 しかし、供述の矛盾は誰が見ても矛盾なのですから、そこを厳しく問うのは当然でしょう。
 本音は別のところにありそうです。
 取調べ技術の未熟さが露呈するのを恐れているように思われます。
 
 「雑談や笑いもある取り調べを公開し、被害者や遺族が目の当たりにしたら、捜査機関に極度の不信感、嫌悪感を抱くかもしれない」のほうははるかに本音に近いですね。
 「雑談や笑いもある取り調べ」というのは日常的にあります。
 調書にならない本音もポロポロでます。
 紹介された意見では、捜査機関に対する不信感などが生じることを恐れていますが、場合によっては被疑者がポロリと漏らした本音が思いっきり被疑者に不利に働く場合もあります。

 可視化に関する議論は、録画されたもの全てが少なくとも裁判関係者(被告人、弁護人、裁判官、裁判員)に公開されることが前提になっており、場合によっては傍聴人にも公開されることが想定されているようです。
 しかし、以前も述べましたが、全面録画をするのであれば、公開対象場面と公開対象関係者を限定することが検討されるべきではないかと思います。

 録画は、被告人にとっても有利なことばかりではないのですから。
 場合によっては、被告人以外の関係者に重大な不利益を及ぼす場合も考えられます。
モトケン (2008年3月22日 09:49) | コメント(33) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)




引用:取調べ録画の範囲 - 元検弁護士のつぶやき

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