2013年2月14日木曜日

このエントリは、角界批判ではなくて、新聞社の犯罪報道の姿勢に関する<元検 弁護士のつぶやき>



力士暴行死報道で気になること

前親方「ビール瓶で10発殴った」 制裁目的は否定(asahi.com 2008年02月10日10時13分)

 前親方は「相撲を続ける気があるのか、はっきりしない態度に怒りがわいて殴った」としているが、制裁目的ではないと否認を続けているという。

力士暴行死:ぶつかりげいこ「長いと思った」…兄弟子供述(毎日新聞 2008年2月9日 21時12分 (最終更新時間 2月9日 22時08分))

 山本容疑者は殴ったことについて「説教をした時に(相撲をやめるか続けるか)はっきりしないので怒った。制裁の意味はない」と犯意を依然否認しているという。

 最初に明確にしておきますが、このエントリは、角界批判ではなくて、新聞社の犯罪報道の姿勢に関するものです。

 両紙とも、山本容疑者(元時津風親方)が、「制裁」の目的ないし意味を「否認」していると報じています。
 毎日に至っては、「犯意を依然否認」とまで言っています。

 いくつかの問題を指摘できるのですが、最大最悪の問題は、両紙とも警察発表を鵜呑みにして自分の頭で考えることを放棄しているのではないか、と思われることです。

 「制裁目的」を「否認」という言い方は、

 本件の真相は制裁目的なのだが、元親方はそれを否認して責任逃れをしようとしている

 という意味に読めてしまいます(私の深読みまたは読み過ぎでしょうか?)。

 私の深読みを前提にして話を進めますが、少なくとも現時点においては「制裁目的」とういのは警察が想定した事件の構図に過ぎないように思います。
 真相はこれから解明されるはずなのに、両紙は警察発表を鵜呑みにして「制裁目的」が真相であると(無批判・無検討に)前提にして本件を見ているように感じられるのです。

 さらに言えば、そもそも「制裁目的」という言葉自体が抽象的です。
 朝日によれば元親方は「「相撲を続ける気があるのか、はっきりしない態度に怒りがわいて殴った」と言っているようですが、この供述と「制裁目的」という言葉とは矛盾するとは思えないのです。

 要するに、両紙の記事からは、自分たちの主体的判断で事件の真相を解明しようという姿勢が認められないのです。

 ちなみに、読売新聞は、たんたんと供述要旨を伝えているだけです。
 あまり突っ込まないのでぼろが出ないだけかも知れませんが。

 例によって揚げ足取り的エントリですが、私なりに気になるところを書くのがこのブログですので、こんな見方もあると思ってお読みください。
モトケン (2008年2月10日 11:35) | コメント(22) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:力士暴行死報道で気になること - 元検弁護士のつぶやき


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