2013年2月9日土曜日

裁判官から裁判員に対して不適切な誘導がなされる可能性はかなりの蓋然性をもって存在すると<元検弁護士のつぶやき>


裁判員制度における評議の適正の確保

 別エントリで、倶利伽羅(弁護士)さんから以下のコメントがありました。

もしこれを無批判に許せば、「法律上は執行猶予も一応可能だけれども、常識的に見てありえない。」などと不当な説明がされたり、または、責任能力が争われる事案で、医療観察法(これ自体悪法ですが)による処理をあえて秘匿して、「心神喪失にしたら無罪です。この人がすぐ社会に出るけどいいのですか。」という不当な誘導がなされることはすぐに予見できます。

 この意見は、裁判員に対する裁判官による不当な誘導の危険性を指摘されているわけですが、もちろん最高裁としてはそのような評議のあり方を不適切であると考えているはずです。

 しかし、意図的であるか否かにかかわらず、裁判官から裁判員に対して不適切な誘導がなされる可能性はかなりの蓋然性をもって存在すると思われます。
 たぶん、裁判官が意図的に、つまり強度な自制をもって誘導を回避しようとしても誘導を文字通りの意味で完全に排除することは困難だろうと思います。

 そのような現実を直視すれば、不適切な誘導という弊害を減らしていくための方策が必要になるはずですが、そのためには、実際の評議を事後的に第三者が検証する仕組みが不可欠と思われます。

 しかし、現在、そのような仕組みがあるのでしょうか?
 評議の秘密を前提にして、そのような検証が可能かどうかも疑問があります。

 悲観材料がまた一つ明確になったように思います。
モトケン (2008年3月 7日 14:44) | コメント(21) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)




引用:裁判員制度における評議の適正の確保 - 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

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