刑事司法には限界、それもとても大きな限界があることを全ての人が理解するべきです<元検弁護士のつぶやき>
死亡女性の父親の不満について
死亡女性の父親が会見 「非常に残念」 大野病院事件(産経ニュース)
テレビのニュースでは、「真実を知りたい」ということを強調されていましたので、お父さんが知りたい「真実」というのはなんなんだろうと思っていたのですが
終始固い表情の渡辺さんは「私が本当に知りたいのは、手術中の詳細なやりとりではなく、(加藤医師が)どうして態勢の整った病院に娘を移さなかったのかということだった。裁判では明らかにされず悔しい。
こういうことだったのですね。
しかし、本件の裁判では、これを期待するのは少々無理があったと思います。
なぜかといいますと、加藤医師が別の病院に娘さんを移送しなかったことは過失の内容になっていないからです。
つまり、争点ではないわけですから、少なくとも移送しなかったことをメインテーマにすることはできません。
検察官が、付随事情として被告人質問で聞くことはできたと思いますが、加藤医師がそれなりの答をすればそれで終わりにせざるを得ない問題です。
専門的な言い方をすれば、これは検察官の訴因構成の問題であって、加藤医師の責任ではないことはもちろん、裁判所の責任でもありません。
命を預かっている以上、すべての不安を取り除いて臨んでほしかった」と、不満をあらわにした。
お父さんとしては、当然の不満だと思いますが、全ての患者(妊婦)に対して、完璧な医療を提供することは不可能ですから、これも裁判所の判断を左右する事情にはなりえないと思われます。
刑事司法には限界、それもとても大きな限界があることを全ての人が理解するべきです。
その意味で、
これを機に、医療も良い方に変わってもらえたら」と理由を説明。また、国が進めている“医療版事故調”設置については「真実を説明してもらえる機関になってもらいたい」と要望した。
という要望には、関係者全てが耳を傾けるべきだと思います。
モトケン (2008年8月20日 22:22) | コメント(101) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマーク (Top)
引用:死亡女性の父親の不満について - 元検弁護士のつぶやき
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